(レポート)[AWS Cloud Roadshow 2016 大阪]まだリプレースで消耗してるの? 近畿大学全システムのクラウド完全移行計画 #AWSRoadshow
はじめに
こんにちわ。市田です。
2016年11月22日(火)ハービスホールにて行われたAWS Cloud Roadshow 2016 大阪に参加してきました。 本投稿では、導入事例トラックのセッション「まだリプレースで消耗してるの? 近畿大学全システムのクラウド完全移行計画」 についてレポートしたいと思います。
スピーカー紹介
- スピーカーは、学校法人近畿大学の総合情報システム学部 高木純平氏。
- SEから近畿大学にジョイン
- 好きなAWSサービスは「Workspaces」
- 学校法人向けなどで割引メニューのようなものが出てくると嬉しい
組織について
- 総合情報システム部
- 事務システム課
- 教育システム課
嫌いなもの
- 甘いもの、お芋系
- システムリプレイス(超絶嫌い)
リプレース経験
- 2007年〜2013年の履歴
- 07年:2件
- 08年:4件
- 09年:6件
- 10年:9件
- 11年:8件
- 12年:4件
- 13年:6件
- 合計39件
リプレイスが嫌いな理由
- 時間がかかる
- お金がかかる
- つまらない・だれでもできる
- ゆえにストレスがたまる
- 喜ばれない(それどころからシステムが止まってマイナス)
- 時間とお金をかけるべきではない
- 給料泥棒と思われる(by経営陣)
- そんなもの(リプレイス)になんでお金かけてるの?
クラウド導入の背景
- 集約化・可用性
- 仮想基盤(オンプレ)
- 利便性・運用コスト・流行
- SaaSの利用から開始していた
- Gmail、trendmicro securityなど
- IaaS
- 可用性、実績、機能、コスト、ノウハウ、構築スピード、運用負担軽減、スケールアウト・スケールアップ
- AWSを使いたいと思うように
- 直近で更改予定の教育系基幹システム(ウェブ、DNS)
- SINETクラウドサービスがAWSに対応するという風の便り
- SINET4経由(L2VPN)経由でAWSに接続することができる
AWSにすることで
- 可用性があがる・構築スピード早くなる。スケールアウトetc
- コスト削減の指示(運用負担軽減)
- セキュリティは大丈夫なのか?と言う指摘はあった。
AWS導入
- 2014年4月着手
- 9月にサービス開始
- 2014年9月〜2016年10月
- ダウンタイムを伴う大きな障害は1件のみ
- AWSサポートに連絡したら1時間くらいで復旧してくれた。
- オンプレではあまりない速さのサポート
業務システムのAWS移行
- 全業務システムその他をクラウド化
- 図書館システム等
- 大学業界ではじめて。
- プレスリリースを頻繁に出した
- 人給、財務会計、勤怠、教務、ポータルサイト
- 全システムを仮想基盤@DCに移行済み
- 教育系(プリントサーバ,Active Directory)は実現できなかった
- 業務システムはクラウドに全て移行
- 業務システム完全移行計画
- AWSの移行先としての検討
- ランニングコスト試算
- 試算はカリキュレータで簡単に分かった
- オンプレで買うよりもAWSにした方が安いと分かったので移行することにした
- 経営トップのクラウドの理解
- 業務システムとなると成績情報や人事情報が乗るので大丈夫か心配された
- 経営トップの理解があった為に進めることができた。
- 要求事項
- コスト削減(HW運用の職員の残業代)
- セキュリティ
- パフォーマンス向上(柔軟なスケールアップ、アウト)
- ディザスタ・リカバリ
- 規定、ガイドラインの整備(事後に行った)
移行後の効果
- 要員の工数(約24.5%減少)
- 職員の工数削減
- イニシャル10年間で約70%コストカット
- トータル10年間で約20%コストカット
- 上記の結果は大学特有かもしれない
- 大学のシステムは24/365動いているので。
- 夜間止めることができるシステムならもっとコストカットできるかと。
- 2018年度に業務系システムは全て移行する予定
- シラバス、教務、入試システム、メール
- AWSのサイトで公式事例を掲載
- シンガポールリージョンにシステムバックアップしている
- AWS 導入事例: 学校法人 近畿大学 | AWS
ID管理基盤氏システムの移行
- 旧システムは2004年新規導入
- 2008年に更改
- キャンパス毎に管理している
- AWSへの移行を機会に統一できれば
- 2014年:検討フェーズ
- 2015年:設計構築
- 2016年:運用開始
AWSに移行してよかったこと
- 5万人のIDパスワード管理するシステムだからパフォーマンスに不安があった
- 事前検証で試してみた。
- 結果的に問題ないことが分かった。
- 事前に簡単に検証できたのがIaasならではのよかった点
ホスティングからAWSへの移行
- 2015年1月〜9月
- 着手から完全移行完了
移行してよかったこと
- TwitterやYahoo!で近畿大学が取り上げられることがある
- スマホからの流入がほとんど
- 一気にアクセスがくる
- 今までのホスティングでは一気にアクセスくるとダウンしていた
- AWSにしたらオートスケールで対応できた
- とても効果があって移行してよかった
図書館システムの移行
- 19インチラック(44ユニット)
- 全てAWSに移行
- SIer(メーカー含む)との交渉
- AWSに移行しても保守してくれるように説得して対応してもらえることが大切
- 運用負荷が軽減した(停電対応、メンテなど)
- 各キャンパスのシステムを統合できた
- (統合を機に)ネットワーク最適化できた
- 6キャンパスでバラバラに動いていたのが統合できた
今後の展望
AWSへの期待
- 国内リージョンでディザスタ・リカバリ対策できるようにして欲しい
- 導入稟議時の説得が行いやすくなる
- 結果として更にクラウド導入が進むのでは
- スナップショットをオンプレミスに保存できるようにして欲しい
- データ転送料が問題になりそうだが。
- 教育機関向け料金体系
- 学校法人などに特化したお得な料金体系があると嬉しい
アプリケーション対応
- クラウドネイティブなアプリケーション設計が重要になる
- バッチ処理が早く終わるようになったのは、単に処理能力の高いインスタンスタイプにしただけということもある
- パフォーマンスや可用性を考えて、クラウドネイティブなものを選択していくことが大切
- 例えばOracleならマネージドサービスであるRDSを使うといったことがキーになる
教育系システムのクラウド完全移行
- DaaSとしてのWorkspacesに期待している
- 学内はネットワーク機器だけにすれば設置場所の確保が不要になる
- 学生はどこからでもデスクトップ環境が使える
- 価格設定がやや高いので、今の所導入はちょっと難しいと考えている
XaaS(SaaS,Iaas , PaaS)
- いつでも新しい、より良いサービスに柔軟に変更していきたいと考えている
- 積極的に利用していきたい
リプレースからの開放
- リプレースから開放されて空いた時間ができた
- 空いた時間でこれまで出来なかったことに取り組むことができた
- Active Learning Roomの取り組み(2016年に対応済み)
- 学生が自主的に勉強できる仕組みや環境のこと
BYOD
- 学生や教員が私物のPCを持ってきて授業を受ける。
- 九州大学は既に導入している。
- こういうこともやっていきたい
- IoT・機械学習 何か面白いサービス提供などをしていきたい
感想
先進的な取り組みが多い印象の近畿大学の事例講演が聞けたのは嬉しかったです。AWSの導入によりコアビジネスに注力することができたのが大きな点だったのではないかと感じました。 これからも近畿大学には目が離せないですね。